特注シム・スペーサーの製造なら、 「特注シム製造センター .com」 。バリレスを実現する精密プレスに関する技術情報も満載!コストダウン提案、短納期対応いたします! produced by 飯島精機

技術コラム

モーターコアで電磁鋼板を積層する理由とは?

電磁鋼板とは

電磁鋼板とは、安価な鉄鋼材料であると同時に、磁気的性質を持ち、電気機器の鉄芯材料として使用される機能材料です。そのため、電磁鋼板には「絶縁被膜」と呼ばれるコーティングが施されます。

また、軟鋼にケイ素を添加することで、磁気特性に悪影響を及ぼす不純物(炭素や窒素など)を取り除き、鉄損なども極限まで低減しています。この際に、添加するケイ素の量を増やすと、結晶磁気異方性および磁気ひずみが小さくなり、電気抵抗が大きくなるので、結果的に鉄損を低減させる利点がありますが、飽和磁束密度が小さくなってしまうという欠点もあるため、含有率には注意が必要となります。

>>電磁鋼板とは?電磁鋼板の定義から特性・種類までご紹介

 

電磁鋼板の特性

電磁鋼板には「鉄損」「磁束密度」という2つの磁気特性があります。

①鉄損

鉄損とは、電気から磁気へとエネルギーが変換される際に損失されるエネルギーの大きさを指します。鉄損が小さいほど、省エネルギーの実現となります。

電磁鋼板において、鉄損を小さくする方法としては「接着積層工法」と呼ばれる積層工法の活用があります。

積層モーターコアとは電磁鋼板を積層させたものとなりますので、上記のように積層工法を工夫することで上手く電磁鋼板の特性を扱うことができます。

>>鉄損とは?鉄損の定義から発生要因、解決策までご紹介!

 

②磁束密度

磁束密度とは、単位面積あたりの磁束の密度のことを指します。こちらは、磁化のしやすさを表す「透磁率」と合わせて考えられることが多いです。

磁束密度が高いほど、一定の電流でも高い磁力を得ることができるため、より大きなエネルギーを生み出します。

良い電磁鋼板とは、この磁束密度と透磁率がともに高いことが特徴としてあります。

 

電磁鋼板の種類

電磁鋼板には、主に以下の2つの種類があります。

無方向性電磁鋼板

方向性電磁鋼板

これらは鋼板の磁化しやすい方向によって区別されています。

 

無方向性電磁鋼板

無方向性電磁鋼板は、特定の方向のみに磁化するように、結晶軸の方向を整頓した電磁鋼板のことを指します。このため、主に鉄心が板面内の不特定方向に磁化される電動機や発電機に用いられます。

方向性電磁鋼板

方向性電磁鋼板は、特定の方向に偏って磁化しないように、結晶軸の方向を無秩序にした電磁鋼板のことを指します。このため、主に鉄心が板面内の特定方向に磁化される変圧器に使用されます。

 

電磁鋼板に用いられる積層構造

上記でも述べたような特性を持つことから、主に電動機や発電機、変圧器として使用されます。

その中で、渦電流が原因で発生する鉄心の電気抵抗によるエネルギー損失を防ぐため、積層鉄心が用いられます。この積層鉄心の構造こそが、渦電流損を減少させることに大きく関係してきます。

積層鉄心の構造

積層鉄心の構造は、下記のようなイメージです。

 

積層鉄心の構造

 

積層鉄心は絶縁被膜でコーティングされた薄い鉄板が複数枚積み重なって出来ています。

この鉄板の積層で一般的に用いられるものが薄いケイ素鋼板であり、低損失かつ飽和磁束密度が高いことが特徴です。 

積層鉄心が渦電流損を防ぐ理由として、上記の「薄いケイ素鋼板」という言葉がポイントになります。

渦電流損は磁束密度、板厚、電源周波数の2乗に比例するため、これらを抑えていくことが損失の対策になります。

そのため、「薄く」「導電率の低い」素材を重ねることが、渦電流損の対策につながります。

>>モーターコアとは?モーターコアの定義から特徴、加工方法までご紹介!

 

電磁鋼板における積層鉄心の積層方法

当社では主に4種類の積層方法に対応しております。それぞれにメリット・デメリットがあり、それに応じて用途も異なることが多くなります。積層方法は以下の通りです。

  • 接着積層
  • ピンカシメ積層
  • ダボカシメ積層
  • レーザー溶接積層

>>積層コアの種類と特徴とは?

 

接着積層

 接着積層とは、積層の部分に接着材を塗布して、鋼板同士を固着する積層方法です。 カシメ積層やレーザー溶接積層と比較すると、積層に多くの時間を要するため、コストが高くなる傾向があります。 しかし積層に高い精度は求められず、また丁寧に積層をするために、モーターの特性は向上します。

接着積層でのモーターコアの具体的な用途としては、高機能モーターや医療機器などがあります。

 

カシメ積層

カシメ積層とは、2つ以上ある部品をカシメでプレス接合する積層方法です。 カシメ積層では、カシメを行う箇所に対して高い精度が求められるため、金型にも相応の精度が求められます。またカシメ積層は、全体的な工程としてプレス以降のプロセスを半自動化することができるため、 接着積層やレーザー溶接積層等の他の積層方法と比較して、低コストで供給できることが大きな特徴です。

具体的な用途としては、ロボット用、自動車用、医療機器用がございます。量産性に優れているのがカシメ積層の特徴のため、大量に積層モーターコアが必要な分野に採用されています。

このカシメ積層には、ピンカシメ積層とダボカシメ積層の2種類があります。

 

ピンカシメ積層

 ピンカシメ積層は、1枚1枚に打ち抜きした製品に対して、任意の孔を2か所以上設け、積層された板の孔にピンを圧入し、積層された状態を維持するカシメ方法です。

 

ダボカシメ積層

 ダボカシメ積層は、積層する1枚1枚の打ち抜き材に凹凸(ダボやハーフカット等)を成形し、1枚1枚を押し込むことでカシメをする方法です。

このダボカシメ積層には、V字型の凹凸によりカシメて積層する「Vダボカシメ」と、丸形状の凹凸によりカシメて積層する「丸ダボカシメ」の2種類がございます。どちらも目的は凹凸をカシメて積層することに違いはなく、当社ではどちらの形状にも対応していますので指定頂ければ対応いたします。ただし、積層モーターコアにどちらのダボカシメもつけられる仕様にすることはできません。一つの積層モーターコア用金型で丸型とV字型を同時に搭載することは、設計上困難となるため、ダボカシメの形状ごとにそれぞれ金型が必要となります。

カシメ積層も、当社の得意とする積層方法です。当社では、積層モーターコアの強度や精度をご要望に応じて製造するため、カシメ径やカシメ位置、カシメ数、これらの情報をまずはお客様からお伺いいたします。その上で、当社の過去実績をもとに、お客様に最適なカシメ位置やカシメ方法のご提案をしております。

ダボカシメ積層の詳細は下記動画をご覧ください!

 

レーザー溶接積層

レーザー溶接積層は、積層パーツを溶接で接合して加工する積層方法です。レーザー溶接積層では、レーザ溶接機での加工が必要なため、接着積層やカシメ積層と比較して、費用が高くなります。一方、レーザ溶接積層では高い精度は必要とされず、小さい加工品にも対応することができます。またレーザー溶接積層は、一般的なTIG溶接と違い、細いビード幅で深く溶け込むため、熱影響による歪みや変形がほとんどなく、溶接痕も綺麗です。

レーザー溶接積層のモーターコアの用途としては、ロボット用、工具用、極小モーター用があげられます。その他にもEVやHEV用の大型コアに対しての積層でも、強度や費用、納期、品質のバランスが良くなる、汎用性の高い積層方法です。

レーザー溶接積層にも当社では対応しておりますが、お客様のご希望される精度によっては、どうしても溶接による歪みが発生してしまいます。そのため特注シム製造センター.comでは、必要によっては円筒研磨のような二次加工で精度を出すようにしております。Φ300程度の大きいサイズであっても、内面も外面も円筒研磨で二次加工での仕上げ加工に対応可能です。Φ200を超えると一部対応が難しい製品もございますが、当社の協力工場にてひずみの少ない溶接積層モーターコアの製造を行います。

このように当社では、ロット数に応じてモーターコアの最適な積層方法のご提案をさせていただいております。また、お見積り時にも比較ができるように2種類の積層方法でのご提出も行うことが出来ることが当社の強みになっています。

 

当社の製品事例

製品事例:ステータコア φ60 積層

64_s-製品_積層コア_202205299_ステータ2

こちらは、ステータコアの量産試作品です。材質は50A1000で、自動車・輸送に使用される製品です。

試作品ではありますが量産と同じ金型内積層の金型を製作しました。カシメ方法は丸ダボカシメを行うことで積層しています。

お客様からは、カシメの強度や、製品の垂直精度に関して、なるべく精度良くお願いしたいというご要望をいただきました。当社では、カシメ強度や垂直精度など、お客様のご要望にあわせて積層コアを中心としたプレス部品の製作をいたします。

>>事例詳細はこちら

 

製品事例:ステータコア φ60 積層

丸ダボカシメ積層コア

 

こちらは、積層コアの量産品です。材質は35A440で、ドローンや動力伝達装置に用いられるモーター用の製品です。

俯瞰写真をよく見るとお分かりいただけますが、丸ダボカシメを5か所行うことで積層しています。当社では、このようなカシメの場合は金型内での積層によりモーターコアの製作を行っております。

またお客様からは、カシメの強度や、製品の垂直精度に関して、なるべく精度良くお願いしたいというご要望をいただきました。当社では、カシメ強度や垂直精度など、お客様のご要望にあわせて積層コアを中心としたプレス部品の製作をいたします。

>>事例詳細はこちら

 

積層モーターコアをご検討の方は「特注シム製造センター.com」まで!

特注シム製造センター.comでは、積層モーターコアの製造実績も多数ございますので、ご検討されている方はぜひお気軽にお問い合わせください。

>>当社の技術提案事例はこちら

>>ご相談・お問い合わせはこちら

一覧に戻る