中途半端な板厚・サイズの特注シムは、どこに加工依頼する?
当社に最も多くご相談いただくことが多いのが、
・カタログにないサイズのシムリングの製造をお願いしたいです
・通販サイトにない板厚のスペーサーについて製作できますか?
・カタログにあるサイズのシムリングだけど、数量が多くなったら御社の方が安くならない?
という、規格品シムメーカーへ依頼ができないシム、もしくは規格品シムメーカーに依頼するかを迷っているシム、に関するご相談です。
ここでは、どのようなサイズだと中途半端な板厚・サイズの特注シムにあたるのか、そして中途半端な板厚・サイズの特注シムはどこに加工依頼するべきか、特注シムメーカーの観点からお伝えいたします。
どのような板厚だと特注板厚シムになる?
特注シムというのは、①サイズ、②形状、③板厚、④材質、の大きく4点のうちいずれかが特殊でカタログ規格品にないシムを指します。
この中でも、例えばSUS304(ステンレス)製のシムリングのような、規格品に多い形状と材質のシムになると、②形状と③板厚が規格外になると特注シムリングということができます。
実際に他社サイトの情報を踏まえながら表としてまとめると、下記のようになります。
板厚 | A社 | B社 | C社 | 特注シム製造
センター.com
(一部抜粋)
|
t 0.005 | 〇 | 〇 | ||
t 0.01 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
t 0.02 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
t 0.03 | 〇 | 〇 | ||
t 0.04 | 〇 | 〇 | ||
t 0.05 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
t 0.06 | 〇 | 〇 | ||
t 0.07 | 〇 | 〇 | ||
t 0.08 | 〇 | 〇 | ||
t 0.09 | 〇 | 〇 | ||
t 0.10 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
t 0.11 | 〇 | 〇 | ||
t 0.12 | 〇 | 〇 | ||
t 0.13 | 〇 | 〇 | ||
t 0.14 | 〇 | 〇 | ||
t 0.15 | 〇 | 〇 | ||
t 0.16 | 〇 | 〇 | ||
t 0.17 | 〇 | 〇 | ||
t 0.18 | 〇 | 〇 | ||
t 0.19 | 〇 | 〇 | ||
t 0.20 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
t 0.25 | 〇 | 〇 | ||
t 0.28 | 〇 | 〇 | ||
t 0.30 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
t 0.35 | 〇 | 〇 | ||
t 0.40 | 〇 | 〇 | ||
t 0.45 | 〇 | 〇 | ||
t 0.50 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
t 0.55 | 〇 | 〇 | ||
t 0.60 | 〇 | 〇 | ||
t 0.70 | 〇 | 〇 | ||
t 0.80 | 〇 | 〇 | ||
t 0.90 | 〇 | 〇 | ||
t 1.0 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
t 1.1 | 〇 | |||
t 1.2 | 〇 | 〇 | ||
t 1.5 | 〇 | 〇 | 〇 | |
t 2.0 | 〇 | 〇 | 〇 | |
t 2.3 | 〇 | |||
t 2.5 | 〇 | |||
t 2.6 | 〇 | |||
t 3.0 | 〇 | |||
t 3.2 | 〇 | |||
t 4.0 | 〇 | |||
t 4.5 | 〇 | |||
t 5.0 | 〇 | |||
t 6.0 | 〇 |
このように、板厚から見た規格品シム、特注シムについては、下記のような点が挙げられます。
・0.01、0.5mmのような、切りがいい板厚の場合は、規格品が多い
・一方で0.03, 0.04mmのような中途半端な板厚になると、対応可能なメーカーが限られる
・板厚2mm以上になるとシムよりもスペーサーやライナーという領域になり特注対応になる
板厚が薄くなると、プレスやワイヤーカットでは対応が困難になるため、エッチングのような特殊な加工が必要になります。一方で板厚が厚くなると、プレスでは困難となるため、ワイヤーカットまたはレーザーカットのような方法が必要になります。
また、中途半端な板厚の場合は、両面研磨で板落としという工程を取る必要もあります。そのため専用設備がない場合は対応が困難となり、また個別対応が必要になるため、規格にはない特注板厚シムとなります。
※上記表には記載できていないような板厚の特注シムについても、当社では数多くの実績がございます。
どのようなサイズだと特注サイズシムになる?
あわせてサイズについても、外径と内径の組み合わせで膨大な量になるため表は割愛いたしますが、サイズから見た規格品シム、特注シムについては、下記のような点が挙げられます。
・外径Φ24mmのような中途半端なシムリングは特注対応
・外径と内径の差が特殊な場合は特注対応
・M4,M8のようなネジ径、インチサイズのシムリングも特注対応
規格シムメーカーの場合は、プレス加工で量産を行うため、決められた型サイズでの対応になります。そのため型にないサイズのシムリングになると、特注サイズシムと言えます。
例えば、外径Φ24mmや、肉厚が薄いシムリングなどは、特注サイズシムリングに該当します。このようなシムの場合、数量に応じてプレス加工またはワイヤーカットなど、加工方法を選択する必要があります。
中途半端な板厚・サイズの特注シムは、どこに加工依頼する?
上記のような、中途半端な板厚・サイズの特注シムは、カタログや通販サイトにはないシムのため、都度見積りを取得する必要があります。その際の選択肢として、
・カタログシムメーカーや通販サイトから依頼
・特注シムメーカーに依頼
・プレスメーカー、ワイヤーカットメーカーに依頼
・規格品を購入後、自社製作
と、大きく4つの製作方法があります。
カタログシムメーカーへの依頼については、規格外のシムの場合、どうしても個別対応になるため費用が高くなる傾向があります。
また金属部品加工メーカーに依頼する方法もありますが、金額や手間の観点からお断りされてしまうケースが多くあるようです。
そして自社で最終調整をする方法もございますが、手配工数が社内で発生してしまいます。
このような観点から、中途半端な板厚・サイズの特注シムは、弊社のような特注シムを取り扱う、シム加工に対応する旨を告知している、そのような特注シムメーカーに依頼するのが無難と言えます。
特注シムメーカーの場合、規格外シムを中心に製作対応しており、また特注シムの実績と信頼もあるためサービス展開をしています。また見落としがちな観点ですが、人件費や物流費のような間接コストが少なくなるケースが多く、実は規格サイズや板厚のシムであっても、数量によっては特注シムメーカーの方が安価かつ短納期になるケースも多々あります。
特注シム製造センター.comだからこそ可能な機械用シム
先述の通り、特注シムというのは、①サイズ、②形状、③板厚、④材質、の大きく4点のうちいずれかが特殊でカタログ規格品にないシムを指します。
そして特注シム製造センター.comでは、用途や使用環境、作業性、再現性等のアプリケーションを考慮した上で、上記4要素を最適な形でご提案いたします。
規格外の板厚にも対応する特注板厚シムプレート・シムリング
シムを実際に製作する際は、➊定尺板から切り出して、➋必要に応じて板厚調整を行い板厚と寸法公差を要求精度に合わせる、というプロセスで製作しています。
そのため、当社で保有している、または調達実績がある(調達可能な)定尺板の板厚一覧の中にあるシムは、すべて製作可能です。
>>SUS製シムの板厚について|規格にない板厚の特注シム板への対応方法とは?
一方で特注シム製造センター.comでは、サイト開設以降、様々な特注シムのご相談をいただいておりますが、特注ということだけあり、規格品ではラインナップがない板厚の特注シムや、平面度の指定が高精度なスペーサーのご相談も多くいただいています。
規格外の特注板厚シムや、平面度の要求精度が高い高精度スペーサーについては、ただ形状をカットするだけのプレス加工やワイヤーカット、レーザーカットでは実現することができません。
特に機械用シムについては、自社の機械に合致した厚さの特注シムでなければいけません。そのため、板厚について特にシビアに考えていらっしゃる、精度高い調整を行いたいメーカーの生産技術エンジニアの方々から、特にご相談をいただいております。
そのため当社では、両面研磨にて板厚のコントロールを行うことで、規格品にはない特注板厚シム・高精度スペーサーの製造を行っています。
規格にはない板厚や平面度の特注シム製造が可能な小回り対応力が、当社に数多くのご相談をいただけている理由の1つだと考えております。
先ほどの表ですが、当社ではすべての板厚・サイズのシムに対応いたします。
(表の画像を挿入)
両面研磨による特注板厚シム・高精度板厚シムへの対応力
シム形状については、ワイヤー加工やプレス加工により任意の形状を指定頂ければ、ほとんどの異形状シムの製作可能となります。
一方、板厚については、まずは板材の規格があるかどうかが重要になります。そのため当社では、両面研磨にて板厚のコントロールを行うことで、規格品にはない特注板厚シム・高精度スペーサーの製造を行っています。
平面度については、板厚がt1mmを超えるようなスペーサーの場合で平面度0.01は非常に高精度となり、大量生産する規格品のシムスペーサーでは保証外となります。(t1.0の場合、規格品における板厚公差は±0.03~0.08が一般的です)
しかし、当社では精密な両面研磨加工が可能のため、t1.9mm、平面度0.01という高精度シムスペーサーでも問題なく対応可能です。
両面研磨については、板厚によって異なりますが、公差は±0.01~0.005であれば対応可能です。規格外の高精度シム・スペーサーが欲しいという方は、購入先を探す際に、最初から当社にご相談いただく方も多くなっています。
>>両面研磨による規格外板厚シム・高精度スペーサーの特注対応
同形状で異なる板厚のシムプレートセット
同一形状の特注シムの製作を行う場合、異なった板厚ごとそれぞれ手配すると、どうしても管理工数がかかってしまい、コストが高くなってしまいます。
そのため、同一形状の複数の板厚のシムをご要望の場合は、まとめてご発注頂くことで、一度にまとめてシム製作が可能となり、結果としてコストダウンにつながります。
当社では、同じ形状で複数の板厚のシムを製作した実績が多数ございます。特に当社では、異なった板厚の素材を重ねて同一形状に加工しますので、同じ形状で複数の板厚のシムが製作可能です。同形状で異なる板厚のシムプレートセットの場合は、例えば厚さ0.01~0.1mmまでを0.01mm刻みにしたシムプレートセットを加工したり、0.05, 0.1, 0.2, 0.3, 0.5, 1.0, 2.0mmという7つの厚さのシムを同時に製作するなど、様々なパターンで対応しております。
また複数枚のシムプレートを使用することで、再現性の高い隙間調整・バランス調整も可能となります。
特注板厚・サイズシムのコストダウン
規格にない板厚やサイズの特注シムの場合、通販サービスを展開するシムメーカーに依頼すると、規格外ということでやや費用が高くなる傾向があります。
一方で当社は、サイト名の通り、規格外の特注シムのみを取り扱っており、一般的なシムメーカーよりもコストを抑えた製作が可能となり、お客様からもコストメリットが大きかったという点で当社に製作依頼をいただいたケースが多くなっています。
特注シムの製品事例をご紹介!
続いて、特注シム製造センター.comによる、特注シムの製品事例をご紹介いたします。
半導体製造装置用 正方形シム(プレス加工)
こちらは、半導体製造装置用の正方形シムです。材質はSUS304で、精密プレス加工で製作いたしました。
こちらのシムでは、90×90mmの中に144個の円(φ3.6)が5.5mmピッチ(±0.03)毎に形成されており、さらにそれぞれの円の中には1.5mm(±0.025)のスリットが3か所に、非常に狭いピッチで設けられています。そのため当社では、カス上がり防止とパンチ欠け防止の工夫を金型に施しております。
動力伝導装置用向け 丸シム・スペーサ
こちらは、動力伝動装置用の特注シム(スペーサ)です。りん青銅(C5191)の素材を、プレス加工で打ち抜いて製作いたしました。
今回の特注シムは、厚みの要求精度が±0.01mmであり、さらに表面と裏面の平面度は0.02mmをお客様から要求いただきました。これらの厚み精度や平面度の場合は、素材のみで精度保証するのが困難となりますので、当社ではプレス加工後に両面研磨を施しています。
シムリング φ30×φ26×0.1~0.5mm
こちらは、さまざまな用途に活用できる丸い形状のシムです。ステンレス素材です。0.1~0.5mmの板厚に対しプレス加工により製作しました。
特にM4系の電動ガンのレールシステム&アウターバレルを取り付けた時のガタつきを解消します。電動ガンM4系各のバレルロックリングとバレル基部の間に挟み込んで使用し実物や海外パーツを組込んだ時に生じるズレやガタ付きを解消します。
シムリング ステンレス φ10×φ7×1t
こちらは、さまざまな用途に活用できる丸い形状のシムです。ステンレス素材です。1mmの板厚にプレス加工により製作しました。
バリレスプレスシムのため為変形、バリが少ない仕上がりになっています。釣り具などリールのガタつき調整などのメンテナンスに最適です。クリアな巻き心地になるようにメンテナンスください。ハンドルのガタつき調整、ドライブギアのシム調整にシビアな調整が可能です。
シムリング 銅 φ13×φ10×0.8t
こちらは、丸い形状のシムです。銅素材です。0.8mmの板厚にプレス加工により製作しました。
バリレスプレスシムのため為変形、バリが少ない仕上がりになっています。
シムリング 銅 φ20×φ15×1t
こちらは、丸い形状のシムです。銅素材です。1mmの板厚にプレス加工により製作しました。バリレスプレスシムのため為変形、バリが少ない仕上がりになっています。
ワッシャー(座金) 鉄+亜鉛メッキ φ10×φ8×0.5t
こちらは、丸い形状のワッシャー(座金)です。鉄(SPCC-SD)素材です。0.5mmの板厚にプレス加工により製作しました。
バリレスプレスシムのため為変形、バリが少ない仕上がりになっています。また錆防止のために亜鉛メッキを行っています。
ワッシャー(座金) ステンレス φ6×φ3×0.5t
こちらは、丸い形状のワッシャー(座金)です。ステンレス(SUS304)素材です。0.5mmの板厚にプレス加工により製作しました。
バリレスプレスシムのため為変形、バリが少ない仕上がりになっています。またバリ除去のためにバレル処理を行っています。