積層モーターコアの種類と特徴とは?
ここでは積層コアの定義から積層コアの加工方式である、カシメ方式、レーザー溶接方式、接着方式についてご説明します。
積層モーターコアとは?
コアとは磁束のことを表し、電機子回路を構築しているロータ鉄心では回転するとともに磁束が変わる特徴を用いた積層モーターコアが用いられます。
また、積層モーターコアは積層している板材が薄くなればなるほど、モーター特性は向上します。
>>積層鉄心とは?定義から構造、用いることによるメリットをご紹介!
>>モーターコアとは?モーターコアの定義から特徴、加工方法までご紹介!
>>レゾルバとは?レゾルバの概要から電気自動車との関係まで解説!
モーターコアは電磁鋼板を何枚も重ねることで作成することができます。
積層モーターコアは、同じ大きさのモーターコアを比較すると、薄い電磁鋼板を用いることで、より効率の良いモーターを作成することが可能になります。
モータコアの積層方式は 3 つあります。
・カシメ方式:2 つ以上の部品をカシメてプレス加工方法
・レーザー溶接方式:溶接で部品を接合する方法
・接着方法:接着剤を塗布して積層固着する方法
この3つの方式は、作成費用や製作時間、加工の精度などの観点での長所・短所があり、モータの種類や用途によって使い分けがされています。
カシメ方式
カシメ方式は、2つ以上のパーツをカシメてプレス接合をする方式です。
カシメ方式は、カシメる箇所に対して、高い精度が求められます。またカシメ方式での積層では、プレス以降のプロセスを半自動化することが可能なため、レーザー溶接方式と接着方式と比べて低コストで供給ができます。
カシメ方式で製作された積層モーターコアの用途としては、ロボット用、自動車用、医療機器用があげられます。量産性に優れているのがカシメ方式の特徴のため、大量に高精度な積層モーターコアが必要な分野に採用されています。
ダボカシメ積層の詳細は下記動画をご覧ください!
https://youtu.be/rlGvJVBuk7M
レーザ溶接方式
レーザー溶接方式は、積層パーツを溶接技術で接合して加工する方式です。
この方式では、レーザ溶接機での加工が必要なため、カシメ方式と比べて、費用が高くなります。一方でレーザ溶接方式では高い精度は必要とされず、小さい加工品にも対応することができます。
レーザー溶接方式は、一般的なTIG溶接と違い、細いビード幅で深く溶け込み、熱影響による歪みや変形がほとんどなく溶接痕も綺麗です。
また、レーザー溶接方式は、EVやHEV用の大型コアに対しての溶接でも、強度には問題なく加工にも、費用、納期、品質のバランスが良い加工方法です。
レーザー溶接方式の用途としては、ロボット用、工具用、極小モーター用があげられます。
接着方式
接着方式は、積層パーツに接着剤を塗布して積層固着する加工方式です。
レーザー溶接方式と比べ、接着方式は製作時間が長いため費用は高くなりますが、高い精度は求められず、他の方式と比較してモーター特性が向上します。
接着方式の用途としては、主に高機能モーターや医療機器に用いられます。
当社では、積層モーターコアに関するご相談を多数いただいております。ここではその一部になりますが、当社からの積層モーターコアに関するよくある質問への回答を記載しています。
当社の製品事例
製品事例①:分割ステータコア
こちらは、分割ステータコアの量産品です。材質は50A300で、動力伝達装置に使用される製品です。
俯瞰写真をよく見るとお分かりいただけますが、丸ダボカシメを2か所行うことで積層しています。当社では、このようなカシメの場合は金型内での積層によりステータコアの製作を行っております。
>>事例詳細はこちら
製品事例②:積層モーターコア(φ110×35×0.2mm)
こちらは、積層モーターコア(φ110×35×0.2mm)です。材質は50A300で、主に動力伝導装置向けに使われる製品です。
この積層モーターコアは、順送金型によって金型内でカシメ積層をしております。直角度、並行度、同軸度、真円度のすべてで0.05mmの精度が求められるため、精密な金型製造技術が必要となり、バリレス精密プレスを得意とする当社にご相談いただきました。
>>事例詳細はこちら
製品事例③:積層コア試作品(φ50)
こちらは、積層コア試作品(φ50)です。新規モータ開発案件における開発中素材を用いて製作しました。
こちらの積層コアでは、電磁鋼板をあらかじめ積層接着した後に、ワイヤーカットによる加工を行っています。当社の積層コアにおける積層接着技術は、独自のノウハウが詰まった高精度積層接着が可能であり、お客様からも多くの評価をいただいている技術の1つです。
>>事例詳細はこちら