メッキ処理した鉄シムとステンレスシムの違いとは?
シムの用途・特徴
シムとは、機械や金型の隙間を精密に調整するために使用される薄い板です。形状に応じて、シムリング、シムプレート、角シムなどとも呼ばれます。
シムは、機械の組立工程において、部品間のわずかな隙間や高さのずれを調整し、機械の動作を安定させる役割を果たします。このため、適した形状・厚さが重要です。また、シムは用途や使用環境に応じて、形状、厚さ以外にも、耐腐食性や防錆性などの性質が必要となります。
>>シムリングとは?用途や加工方法、材質、厚さ、規格品や事例までご紹介!
>>シムプレートとは?用途や加工方法、材質、厚さ、規格品や事例までご紹介!
鉄シムの特徴
鉄製のシムは、一般的にステンレス製のシムよりも安価に入手できます。特注シム製造センター. comでは、SPCC、 SPHC、 SS400などの鉄系材料のシム製造に対応しており、ご要望に応じて焼き入れ処理された鉄材のシムも製造しています。
鉄製シムは錆びやすいという欠点があります。よって、錆びを防ぐためにメッキ処理が施されます。メッキを行うことで、耐食性や導電性などの特性を付加できるという利点もあります。
ステンレスシムの特徴
ステンレス製のシムは、素材自体が錆びにくく、強度や耐熱性にも優れているため、多くの機械に使用されています。当社でもステンレスでの製作依頼をいただくことが最も多いです。
特注シム製造センター. comでは、SUS304やSUS430などのステンレス材を主に使用しており、特にSUS304が多く用いられています。ステンレス製のシムは、幅広い用途に対応でき、精密な機械部品の構成保持や隙間調整などに使用されます。
鉄シムによく使われているメッキの種類をご紹介!
ステンレスシムにメッキ処理が行われることはございませんが、鉄シムには多くの場合でメッキ処理が行われます。ここでは、鉄シムによく使われているメッキの種類について紹介します。
・亜鉛メッキ
亜鉛メッキは優れた耐腐食性を付与し、金属の寿命を延ばします。また、導電性に優れています。一方で、耐摩耗性が比較的低く、可動する部分や頻繁に使用される部分では、メッキがはがれてしまう場合がございます。
・ニッケルメッキ
ニッケルメッキも耐腐食性に優れ、導電性を持ちます。耐腐食性については亜鉛メッキに劣ります。しかし、耐摩耗性に優れており、耐久性と寿命が求められる用途に適しています。
また、当社ではメッキに関して、下記のようなご質問をいただいております。
Q:錫(すず)メッキが施された鉄部品のプレス加工をお願いしたいのですが、対応可能でしょうか?
鉄シムにメッキ処理する場合には使用環境に適したメッキ処理を行う必要がございます。
メッキ処理した鉄シムとステンレスシムの違いとは?
メッキ処理した鉄シムとステンレスシムには、それぞれメリット・デメリットがございます。どちらを選択するかは、製品の用途、使用環境、予算、品質要求などを総合的に考慮して決定する必要があります。下記の表を参照ください。
鉄シム(めっき処理あり) | ステンレスシム | |
コスト | 低い | 高い |
耐食性 | めっき処理により向上 | 非常に高い(めっき不要な場合が多い) |
強度 | 鉄の強度 | 高い |
耐熱性 | めっきの種類による | 高い |
納期 | めっき処理分、長くなる場合がある | 短い場合が多い |
メリット | コスト削減・機能付加 | 耐食性、耐久性が高く、錆びにくい |
デメリット | めっきの種類によっては、環境に制限がある、剥がれる可能性がある | 材料費が高い |
適用場面 | コスト重視、大量生産、耐食性が必要な場合 | 品質、耐久性重視、錆びやすい環境、高強度、耐熱性が必要な場合 |
表のとおり、一般的には、ステンレスの材料費が高いため、メッキ処理した鉄シムの方がコストメリットがございます。しかし、製品の用途、使用環境に適したシムを使用することが、機械や金型の調整、長寿命化のために重要となります。
特注シム製造センター. comでは、最適なシムをご提案いたします!
特注シム製造センター. comでは、お客様のニーズを詳細に把握し、最適なシムをご提案いたします。シムの選定においては、単にサイズや形状だけでなく、使用される環境における耐食性、耐熱性、強度などを考慮し、最適な材料と加工方法、選択する必要があります。
メッキ処理をした鉄シムとステンレスシムにおいては、メッキ処理した鉄シムの方が、ステンレスシムよりコストメリットがございます。このため、量産の場合や、シムの厚さがある場合などは、鉄シムにメッキを行った方がコストは安くなります。しかし、製品の用途、使用環境に適した選択を行うことが重要です。当社では、コスト面や使用環境によって、メッキ処理を行った鉄シムを選ぶべきなのか、ステンレスシムを選ぶべきなのか最善策を提案させていただきます。
鉄シム、ステンレスシム以外の素材による製造実績も豊富ですので、複数の選択肢の中から、性能面、コスト面で最適なシムをご提案、製造いたします。
また、プレス加工に関して、独自の技術を取り入れた「バリレスプレスシム」は、Amazonでも好評となるなど、市場からも評価の高い高精度シムの製造を行っております。
メッキ処理した鉄シムの製品事例をご紹介
ワッシャー(座金) 鉄+亜鉛メッキ φ10×φ8×0.5t
こちらは、丸い形状のワッシャー(座金)です。鉄(SPCC-SD)素材です。0.5mmの板厚にプレス加工により製作しました。
バリレスプレスシムのため為変形、バリが少ない仕上がりになっています。また錆防止のために亜鉛メッキを行っています。
SPHC製 丸シム・スペーサ・ライナー(レーザー加工、両面研磨、亜鉛メッキ)
こちらは機械装置向けの特注シム(スペーサ)です。鉄(SPHC)の素材をレーザー加工で加工しました。
3.8t±0.05という板厚と製作数量より見積を行った結果、ワイヤー加工や金型を製作した場合では価格が高価となるためレーザー加工を提案させて頂きました。
また一般のSPHCによる板厚3.80t±0.05の材料は入手する事が出来ないため、両面研磨を行う事で規格を満足することが出来ました。さらにこちらの製品はSPHC製のため、サビ防止のために亜鉛メッキ処理を施しました。
特注シム・積層コアなら「特注シム製造センター.com」まで!
今回、メッキ処理をした鉄シムとステンレスシムの違いについてご紹介いたしました。
「使用したい部品に合うシムがわからない、、、」とお悩みの方、「こんな形状のシムが欲しい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
特注シム製造センター.comでは「シム」の製造・加工を行っております。
当社では薄くて、シンプルなシムを得意としており、シムの試作も承っております。
当社の実績ベースで言いますと、月に450万個の直径20mmシムの量産を行ったこともございます。また直径50mmを超えると、月に最大100万個までシム量産に対応可能です。当社では、だいたい月に200万個のシム製造が数種類流れていますが、主に自動車関連や産業機器関連のシムプレート量産に関してご相談をいただいています。メッキ処理をした鉄シム、ステンレスシムに関してお気軽にお問い合わせください。
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