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技術コラム

大学・研究室からのシム試作依頼ガイド|図面がない場合の進め方と少量対応の考え方

実験装置のすき間を少しだけ詰めたい、光学系の間隔を一定に保ちたい。研究の現場では、こうした調整用の薄板部品が急に必要になります。ところが市販品には合う寸法がなく、必要なのは数枚だけ。さらに、機械設計が専門ではない研究室では、CADで図面を描くこと自体が難しいという声もよく伺います。

この記事では、大学・研究室や企業の研究開発部門の方に向けて、図面がない状態からシムの試作を相談する進め方を整理します。相談時に伝えていただきたい5つの情報、公差のように研究段階では決めきれない項目の扱い方、そして少量の依頼をどう受けているかまでを順に説明します。特注シム製造センター.comを運営する株式会社飯島精機は、1個からの試作に対応し、手書きのスケッチやPowerPointの図から図面を起こす対応も行っています。

研究開発の現場で、なぜシムの特注が必要になるのか?

シムとは、部品と部品の間に挟んで高さやすき間を調整する、薄い板状の部品です。研究用途では「規格にない仕様のものが、数枚だけ必要になる」という条件が重なるため、一般的な流通ルートから外れてしまいます。これが「どこに頼めばよいか分からない」という状態を生みます。

研究でシムが使われる場面

  • 実験装置の位置決めや芯出し:架台とステージの間に入れて高さを合わせる
  • 光学系・測定系のギャップ調整:観察部の間隔を一定に保つ
  • モーターやトランスの試作:電磁鋼板を重ねた厚みを調整する
  • 自作治具の高さ調整:既製の部品同士を組み合わせるときの寸法差を埋める

研究室では、装置メーカーに一式を設計してもらうのではなく、手元の装置を組み替えて実験系を作ることが多くあります。そのときに生じるわずかな寸法差を埋めるのがシムの役目です。呼び方は現場によってスペーサー、ライナー、調整板などさまざまですが、ご相談の際は呼び名よりも「どこに何mm入れたいのか」が伝われば十分です。

>>シム、スペーサー、ライナーの違いとは?

実際に当サイトへは、顕微鏡のスライドガラスとカバーガラスの間に入れるスペーサーとして、熱膨張率の小さいチタンで厚み20µm・外形20mmのものを作りたい、というご相談も寄せられています(顕微鏡用スペーサーのご相談)。用途は装置の組み立てだけでなく、実験系そのものの一部にまで広がっています。

規格品では埋まらない板厚・サイズ・材質のずれ

項目 市販・規格品の前提 研究開発で求められること
板厚 決まった厚みの系列から選ぶ 系列にない厚み、ミクロン単位の薄さ
サイズ・形状 定尺・標準形状 装置に合わせた寸法、切り欠きや穴
材質 流通量の多いステンレスや鉄 熱膨張率や磁気特性など、性質から選ぶ材質
数量 箱単位・コイル単位 数枚から数十枚

4つのうち1つでも外れると、市販品では対応できません。研究用途で難しいのは、このずれが同時に複数起きる点です。先ほどの顕微鏡用スペーサーであれば、材質がチタン、板厚が20µm、数量はごくわずかという三つが重なっています。どれか一つなら代替品を探せても、重なった瞬間に選択肢がなくなります。

「数枚だけ」が依頼先探しを難しくする

材料商社は最小ロットが大きく、加工会社の多くは量産を前提に見積を組み立てます。そのため、数枚の依頼は双方の間に落ちてしまいがちです。問い合わせても返事が来ない、見積だけで一週間かかる、といった状況は、研究のスケジュールを直接圧迫します。

当社では1個から月産500万個までの幅でご依頼を受けており、単品・試作だけのご依頼にも対応しています(FAQ:どれくらいのロットの製作が可能ですか?)。加工可否については、営業時間内であれば当日内にご連絡しています。作れないなら作れないと早く分かることも、次の手を打つうえでは意味があります。

>>電磁鋼板の切り売り・切り板加工

図面がなくてもシムの試作は依頼できるのか?

依頼できます。当社では、可能な範囲で図面の作成も有償で対応しており、簡単な手書き図や、見にくくなった過去の図面も、あらためてCADデータとして起こします(FAQ:図面がない場合でも対応いただけますか?)。

なぜ図面なしでも成立するのか。シムは切削部品のように複雑な三次元形状を持つことが少なく、外形・内径・板厚・材質・数量という限られた項目でほぼ仕様が決まるためです。つまり、言葉と簡単なスケッチでも、加工可否の判断に必要な情報はそろえられます。

ただし、図面がある場合のほうが提案は速く進みます。当社のFAQでも、図面があればできるだけ早いご提案が可能とご案内しています。図面がないことは相談をあきらめる理由になりませんが、手元にある資料は出し惜しみせずお送りいただくほど、やり取りの往復は減ります。

図面の代わりに使える資料

  • 手書きのスケッチ:紙に描いて写真を撮ったもので構いません。清書は不要です
  • PowerPointやExcelで作った図:研究発表用に作った構成図でも判断材料になります
  • 現物や組み付け状態の写真:どこに入る部品なのかが一目で伝わります
  • 画像やPDFになった図面:過去の図面のコピー、装置メーカーから受け取った資料も含みます

お問い合わせフォームでは、ZIP・PDF・画像のほか、dxf・pptx・xlsx を添付いただけます(アップロード上限5MB)。

写真をお送りいただく場合は、次の3点を意識すると精度が上がります。1枚目は真上から、定規やノギスを一緒に写したもの。2枚目は厚みが分かる横からの一枚。3枚目は実際に取り付けたい場所を写したものです。スケールが写っているだけで、こちらで読み取れる情報量が大きく変わります。

伝わりにくいのは寸法そのものではなく、「どこを測ったか」です

図面のないご相談で確認が増えるのは、数値が足りないときよりも、その数値がどこを指しているのか分からないときです。外径なのか、取り付け穴の中心間距離なのか。板厚は現物を測った実測値なのか、こうしたいという希望値なのか。

「実測で約40mm」「希望は0.3mm」というように、実測値か希望値かを一言添えていただくだけで、こちらの確認が一往復減ります。測っていない箇所は、無理に数値を書かず空欄のままで構いません。

CADデータがある場合に受け付けられる形式

研究室によっては、共同研究先や装置メーカーからCADデータを受け取っていることもあります。その場合は、次の形式でお見積りが可能です。

IGES、ACIS(SAT)、DXF/DWG、STL、CADfix、PCES、BMI、FIG、JWC、JWW、MicroCADCAM各種形式、MIファイル、SX、JX、FX形式(FAQ:IGES形式のデータでお見積りいただけますか?)。

手元のデータがどの形式か分からない場合は、そのまま添付してお送りください。開けるかどうかはこちらで確認します。

相談時に伝えておきたい5つの情報

図面がない場合、次の5つが分かれば加工可否の検討に入れます。すべてが埋まっていなくても構いません。分かる範囲で書いていただければ、不足分はこちらから確認します。

① 何に使うのか

装置のどこに、どのように入れる部品なのかをひとことで書いてください。用途が分かると、優先すべき精度と、そこまで厳しくなくてよい箇所を切り分けられます。

逆にここが空欄だと、すべての寸法を厳しく見積もることになり、費用も納期も膨らみます。「ステージとブラケットの間に挟んで高さを合わせたい」「光学部品の間隔を一定に保ちたい」という程度の説明で十分です。

② 外形・内径と、特に押さえたい寸法

丸形なら外径と内径、角形なら縦と横を書きます。そのうえで「ここだけは合わせたい」という寸法に印を付けてください。

実際のご相談でも、外径は公差不問で内径だけ±0.1というように、押さえどころが1箇所に絞られていることはよくあります。すべてを厳しくするのではなく、機能上ゆずれない寸法を1つか2つ選んでいただくほうが、現実的な仕様に落とせます。

③ 板厚と、厚み方向に許容できる差

シムは厚みが機能そのものです。必要な厚みと、どれだけずれてよいかを書いてください。「0.3mmが理想だが0.28〜0.32mmなら使える」という書き方でも十分です。

すき間を埋めるのが目的であれば、1枚で決めるのではなく、薄いものを複数枚重ねて調整する方法もあります。使い方まで伝えていただければ、そうした構成もあわせてご提案できます。

④ 材質、または満たしたい性質

材質が決まっていればその名称を、決まっていなければ「熱で伸びにくいものがよい」「非磁性がよい」「ばね性がほしい」など、満たしたい性質を書いてください。

前述の顕微鏡用スペーサーも、熱膨張率の小ささからチタンをご希望いただいた例です。材質名からではなく、求める性質から入っていただいて構いません。当社では材料の調達から対応しているため、性質の条件をもとに候補をお出しできます。

⑤ 必要枚数と、使いたい時期

枚数は工法の選択に直結します。数枚の試作と、数十台分の製作では、適した加工方法が変わるためです。

使いたい時期は、実験や学会発表の予定から逆算した日付で構いません。間に合わない場合でも、板厚や形状を少し変えることで短縮できることがあります。

伝える項目 記入例 分からない場合の書き方
用途 光学ステージの高さ調整 「装置の◯◯と◯◯の間に挟みます」
寸法 外径40mm/内径35.6mm 「現物を測ると約40mmです」
板厚 0.3mm、±0.02mm 「0.28〜0.32mmに入れば使えます」
材質 SUS304 「熱で伸びにくい材質を希望」
数量・時期 10枚/来月中旬まで 「まず数枚、量産は未定」

公差や平坦度が決められないときはどうすればよいか?

決めきれない項目は、空欄のままで構いません。用途を伺ったうえで、当社から提案することが多い項目です。

研究段階で公差を決めきれるほうが、むしろ例外です

積層コアの試作についていただいたご相談では、ワイヤーカット放電加工やプレス加工で狙える寸法公差は一般に±0.02mmから±0.05mm程度が目安として使われます。ただし実際に確保できる精度は、形状の複雑さや全体のサイズによって変わります。

そのため当社では、画一的な数値をお伝えするのではなく、図面や構想を拝見したうえで、機能を満たしながら製造コストを抑えられる現実的な公差をご提案しています(FAQ:適切な公差設定のアドバイスについて)。

公差を厳しく書けば安全というものでもありません。必要以上に厳しい指定は、そのまま加工費と納期に跳ね返ります。だからこそ、決めきれない段階では「どこまで必要か」を一緒に決めるところから始めたほうが、結果として早く安く仕上がります。

平坦度やバリの扱いも、用途から決められます

薄板の部品では、寸法以外の条件が効いてくる場面があります。面と面を密着させたいのであれば平坦度が、電気的な接触や摺動がからむのであれば端面のバリの状態が問題になります。

平坦度や厚みの精度を高く求められる場合は両面研磨での対応が、バリを嫌う用途であればバリを極限まで抑えた精密プレスが選択肢になります。どちらもご相談の中で用途を伺ってからご提案する項目です。最初の問い合わせで指定できていなくても、まったく問題ありません。

>>両面研磨による規格外板厚シム・高精度スペーサーの特注対応

数量と板厚で、適した工法が変わります

同じ形状でも、条件によって選ぶ加工方法は変わります。

  • 数台程度の試作:金型が不要で精度を出しやすいワイヤーカット放電加工と接着の組み合わせが適しています
  • 数十台を超える段階:加工スピードに優れるプレス加工へ移行したほうが、コスト面で有利になります
  • ミクロン単位の薄板:材質よりも板厚が決め手になります。厚み20µmのチタン製スペーサーでは、エッチングでの製作をご提案しました

工法が決まると、狙える精度も、費用も、納期も変わります。研究段階で加工方法まで指定していただく必要はありません。

試作の実測から、仕様を見直す

当社では試作品の製作時に工程能力を測定し、図面公差を適正な値へ変更するご提案や、追加工を含めるかどうかといった工法転換のご提案を行っています(選ばれる理由04:試作開発サポート)。

研究段階で仮に置いた数値を、実物の測定結果をもとに現実的な値へ置き換えていく進め方です。試作の後に台数を増やす計画があるのなら、その段階で仕様を整理しておくほど、後工程が楽になります。

大学・研究開発のご依頼に、当社ができること

1個からの試作をそのまま受けます

単品・試作だけのご依頼にも対応しています。1つだけの特注シムの製作から、特殊な材料でのシム試作まで、量産のご予定がなくてもご相談いただけます。

当社は全国の企業・個人からのご依頼に対応しており、拠点は長野県ですが、県外からのご依頼が多数を占めます。お近くに加工会社が見当たらない場合でも、やり取りは資料の送付と打ち合わせで進められます。

仕様に合わせて加工方法を選びます

ワイヤーカット、エッチング、プレス、レーザーを使い分け、板厚・形状・数量に応じた工法を検討します。工法ごとに得意な領域が異なるため、どれか一つに当てはめるのではなく、条件から選ぶという考え方をとっています。どの工法が向いているかの判断も含めてご相談ください。

>>ワイヤーカットによるシム製造が最適な場合とは?

>>エッチング加工によるシム製造が最適な場合とは?

研究に使う材料そのものから相談できます

一般には大口ロットでしか流通しない電磁鋼板を、1枚からの切り売りに対応しています。0.2mmや0.35mmの無方向性電磁鋼板、特定の磁気特性が必要な方向性電磁鋼板を自社で在庫しているため、材料商社経由で待つ必要がありません。

モーターやトランスの試作、研究機関での実験で、必要なサイズを少量だけ手配したい場合にご利用いただけます。加工前の材料が手に入らず研究が止まってしまう、という状況を避けるための仕組みです。

>>電磁鋼板の切り売り・切り板加工のポイント

秘密保持契約を結んだうえで進められます

公表前の研究内容を扱う場合は、秘密保持契約(NDA)を締結したうえで進めていただけます。当社はこれまでも研究機関との開発に関わってきましたが、その多くは契約上お見せできないものです。外部に出せない段階のご相談でも、まずはお声がけください。

試作の先まで見据えた提案をします

試作品を作って終わりではなく、その後の量産体制を考慮した設計提案も行っています。工程能力の測定結果をもとに公差を見直したり、加工方法を切り替えたりすることで、台数が増える段階でのコストは大きく変わります。研究成果を事業化へ進める場面で、この視点が効いてきます。

ご相談から納品までの流れ

営業時間内であれば、当日内に加工の可否をご連絡します。可能な場合は、その場でお見積りと予定最短納期までお伝えします。

ステップ 内容 当社の対応
1. ご相談 図面または資料を送付し、条件をお伝えいただく ヒアリングで不足情報を補います
2. 加工可否・見積 作れるかどうかの判断 営業時間内なら当日内にご連絡
3. ご発注 注文書の送付 図面での代用も可能です
4. 製作・検査 加工と寸法確認 検査測定表を添えてお渡しします
5. 出荷・納品 梱包と発送 発送方法はご都合に合わせます

製作した品物には検査測定表を添付してお送りしています。研究データとして寸法の裏づけが必要な場面では、この測定結果がそのまま使えます。

お問い合わせで送っていただけるもの

フォームでは、ZIP・PDF・画像・dxf・pptx・xlsx を添付できます(上限5MB)。お問い合わせ項目は「お見積り」「技術相談」「工場見学」「その他」から選べます。仕様が固まっていない段階であれば「技術相談」をお選びください。

なお、フォームの会社名欄には、大学名や研究室名をご記入ください。お電話でのご相談は 0265-86-2111(平日9:00〜16:45)で承っています。

>>無料相談・お問い合わせ

研究開発向けの製品事例

そのほかの事例は、材質・加工方法・業界・製品分類から検索いただけます。

>>製品事例一覧

よくあるご質問

Q. 図面がなくても見積もりは出してもらえますか?
はい。用途・寸法・板厚・材質・数量が分かる範囲で伝わっていれば、加工可否の判断とお見積りの検討に入れます。

Q. 大学の研究室や学生からでも依頼できますか?
はい。全国の企業・個人からのご依頼に対応しています。フォームの会社名欄には大学名や研究室名をご記入ください。

Q. 1枚だけでも製作してもらえますか?
はい。1個からのご依頼に対応しています。単品・試作のみで、量産のご予定がない場合でも構いません。

Q. 秘密保持契約は結んでいただけますか?
はい。公表前の研究内容を扱う場合は、秘密保持契約を締結したうえで進めていただけます。

図面がない段階のご相談こそ、特注シム製造センター.comへ

研究に必要な薄板部品は、規格にない仕様のものが数枚だけ必要になり、しかも仕様が固まりきらないまま手配しなければならないことがほとんどです。図面が描けないこと、公差が決められないことは、相談をあきらめる理由にはなりません。

特注シム製造センター.comでは、手書きのスケッチやPowerPointの図からの図面化、1個からの試作、板厚や数量に応じた工法の提案までを一貫して承っています。お見積り・技術相談はフォームから、シムの形状・材質・加工方法をまとめた資料はダウンロードページからご利用いただけます。

>>無料相談・お問い合わせはこちら

>>設計者・開発者のための特注シムカタログをダウンロード

お電話:0265-86-2111(平日9:00〜16:45)

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